どうも、YouTuber分析家のヒトミです。
みなさんは「宝探し」をしたことがありますか?
少年時代に裏山を掘り返した思い出のある人はそう多くないかもしれませんが、大人になって「リアル宝探し」のようなゲームイベントに参加した人はいるのではないでしょうか。
いずれにせよ、そこには『インディ・ジョーンズ』的なワクワク感と何歳になっても変わらない少年の夢が詰まっています。
もちろん徳川埋蔵金のような財宝を狙ういわゆるトレジャーハンターといった職業も世の中には存在しますが、それも日本では数奇者に限った話で、せいぜい佐渡の川で砂金を採るくらいが関の山。
しかし、そんなトレジャーハントの世界を地で行くYouTuberがいます。
かつて少年だったすべての大人たちの思いを一身に背負ったチャンネル、それが「宝探しちゃんねるATENALES」です。
今回はこのチャンネルの魅力を洗いざらいご紹介します。
宝探しちゃんねるATENALESとは一体?
「宝探しちゃんねるATENALES」(以下ATENALES)が行っているのは主にマグネットフィッシング。
実は海外ではジャンルとして定着しているのですが、日本ではまだまだ馴染みの薄いコンテンツです。
基本的には金属探知機や強力マグネットを使い、河川や海岸などでゴミを拾うというもの。
いたってシンプルな行為ですが、ヘドロの奥底から車のホイールやら携帯やら自転車やらが出てくるのは一見の価値があります。
ときたまブランド財布や指輪、金庫!も見つかるのですが、もちろん泥まみれ。
すべての貴重品は警察に届け、粗大ゴミは河川を管理する自治体に回収してもらっているとのことです。
宝探しちゃんねるATENALESのポイント①「見てみたい!」という欲望を可視化する
残念ながら、これまでに本物の金銀財宝が見つかったためしはないのですが、それでも毎週アップされる動画を楽しみにしている視聴者は多いのでしょう。
ATENALESはすでに登録者数20万人を突破しています。
その魅力は一体どこにあるのでしょうか。
ひとつ目の魅力として、同チャンネルが大衆の欲望を上手く呼び起こしている点が挙げられます。
近所の川を見て顔をしかめる都会人も、その底に何が眠っているのか気になるはず。

テレビ東京の人気番組に『池の水ぜんぶ抜く』というのがありますが、構造としてはよく似てます。
テレビもYouTubeも、言ってしまえば大衆の欲望を喚起するメディア。視聴者の「見たことがないものを見たい!」という思いに共鳴します。
それは絶景あり美女であり日本一の漫才であり池の底でのたうち回るブルーギルなのでしょう。
ATENALESも同じで、規模が小さいながらも、世界の裏側を覗きたいという欲望に答えてくれるのです。
ジャンルは全く異なりますが、架空請求業者が数字を獲得している理由にも通ずるところがありますね。
宝探しちゃんねるATENALESのポイント②スマホに通じるゲーム性
ふたつ目の魅力は、ATENALESが現代的なゲームの性質を備えている点にあるでしょう。
遊びには4つの要素がある、と言ったのはロジェ・カイヨワでした。
競争、模擬、めまい、運。このなかで今日のスマホゲームが主軸とするのは間違いなく「運」でしょう。
出世レースに疲れ、ディスコが衰退し、酒から毒気が抜け、最後に残った砦が偶然の戯れだったのかもしれません。

そんな失われた20年生まれの娯楽、スマホゲームとATENALESには似通った点があります。
ガチャを回すときも、マグネットを手繰り寄せるときも、どちらも何が出るかわからない期待感がもたらされるのです。
ATENALESは「運」を使った一種のスマホゲームといえるでしょう。
宝探しちゃんねるATENALESのポイント②「正しさ」を求める時代だからこそ
最後の魅力は、ATENALESが非の打ち所のない正当性を持っていることにあります。
なにせ、言ってみればボランティアでゴミ拾いをしているわけですし、拾得した貴重品は警察に届けているわけですから。
先述した『池の水ぜんぶ抜く』という番組も、外来種の駆除という大義名分があるからこそ成立している企画。
ただの興味本位で水を抜いてたら非難轟々電話殺到でしょう。
ただし、この番組については以前から「生態系が乱れるのではないか」「外来種だからといってすべて駆除するのは正しいのか」といった批判意見も出ています。
やはり人気番組となってしまうと、小さな瑕疵が命取りになるのでしょう。
現代社会は「正しさ」に絶対的な価値を置いている反面、その「正しさ」を少しでも逸脱した人間には見えない凶器を突き付けます。
そこにあるのは正しいか、正しくないかの二択であり、中間はありません。しかも両者は風向きひとつで反転してしまう危うさを秘めています。
かつて祭りくじの悪事を暴いたヒカルがインサイダー疑惑で炎上したことだって、こうしたモノクロームの「正しさ」がいかに脆く、ある種の共同幻想でさえあるという事実を示してはいないでしょうか。
そのような社会にYouTuberとして身を晒すのであれば、どんな形式であれ宗教じみた「正しさ」を備えなければなりません。
あらゆる人間が正当性を武器にマウントを取ろうとしてくるわけですから、それに負けないためには絶対的な正当性で身を固める必要があるのです。
この点において、ATENALESは「池の水ぜんぶ抜く」以上に篤志家であり、現代の空気に適合しているといえます。
少年の心をくすぐるYouTuberといえば、フィッシャーズさんもその軸はありますよね。フィッシャーズさんの初期動画はまさに冒険。お宝動画は下記からご覧ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは。
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