次世代を担う「30 UNDER 30 JAPANアドバイザリーボードにHIKAKIN

ヒューマンビートボックスの世界に憧れ、スーパーの店員として働きながら動画更新を続けて、日本のYouTube界を牽引するスターにのぼりつめたHIKAKIN。

激動の20代を経て今年31歳になった彼はいま何を思うのか。

続けることがいちばん難しい 東京・六本木──。「どうも、お久しぶりです」と予定の時間ぴったりにHIKAKINは現れた。前回インタビューしたのは、インフルエンサー特集のときだった。

1年前のHIKAKIN

ちょうど1年前である。そこで彼は自身の30代についてこんな風に語っていた。 「正直、もういろいろなことを成し遂げた感はあります。あまりに濃い20代だったから。僕は今年でYouTuberを仕事にしてから8年。

次は何だろうなって思いはあります。でも、そればかりは誰にもわからないですよね」 1年経って、心境の変化はあったのだろうか。 「ちょっと変わってきましたね。

今年は新型コロナウイルスという予想外の出来事があって、その期間に『自分はこの先どうしようか』とゆっくり考えてみたんです。今はあらゆる芸能人の方たち、それも僕がテレビで見ていたような大スターの方までがYouTubeを始めるようになりました。

僕自身、数字に追われる感覚は以前よりも強くなっています」 確かにYouTubeを取り巻く状況は激変した。

タレントやミュージシャンがYouTubeに進出する兆候は以前からあったが、新型コロナ禍以降、かつてない勢いでチャンネル開設が続いている。

有名タレントなどが始めたチャンネルも、「研究が半分、もう半分はいちユーザーとして楽しんで見ている」。

「YouTubeは簡単」

あらゆる分野から多くの新参YouTuberが増えて、競争が過熱しているYouTubeの現状をどう捉えているのか。

「ちょっと老害感でちゃうんですけど(笑)、今は僕がYouTubeを始めた時より簡単に飯が食えるようになっています。昔の僕みたいにわざわざ給料の大半をつぎ込んでビデオを買う必要なんてなくて、全部スマホでできますから。

始めるのも簡単だし、広告単価もどんどん上がっている。だから、やりたいと思うなら今すぐ始めたらいい。いちばん難しいのは『続けること』です」 ハイペースで更新し、動画をアップし続けなければいけない「テレビとは違う難しさ」がYouTubeにはある。

更新し続けること、ユーザーを飽きさせずに楽しませる難しさを誰よりも知る彼だからこそ、こだわるのは「継続」だ。

「30代になって『長く続けたい』という思いがより強くなりました。僕にはYouTubeしかないですから。海外のインフルエンサーのなかには、ビジネス展開をしたり、コラボグッズを出したり、動画制作とは違う分野に手を広げている人もいます。

ビジネスを多角化することで、リスクを分散するのはすごいと思う。でも、僕にとってはYouTubeがすべての中心。そんなに器用にできない人間だから、あくまでも『The YouTuber』としての自分にこだわりたい」

「エンターテインメント界のトップを分析してみたら、大切なのは『言葉で自分を伝えること』かもしれないと気づいたんです。

アーティストなら歌詞で、芸人さんならしゃべりで、自分の言葉を伝えてファンを獲得しているんじゃないかって。

ビートボックスは、好きな人は見てくれるけど、それだけやっていてもなかなかファンは広がらない。

もっと言葉で自分を伝えないと、これ以上ファンは増えないと思った。だから、自分の言葉を発信するチャンネルをつくったんです。『あいつ変わったね』なんて言われながらも、やり続けました」

ビートボックスだけやっている時代には、いくらイベントを告知しても、ライブハウスなどの会場が客で埋まることはなかった。

「好きなことを、続けていく。」

しかし「HikakinTV」を開設して自分自身がどういう人間かを伝えられるようになると、ライブ会場はすぐに満員になり、彼が本当に愛しているマニアックな曲を続けて披露しても、「ファンはちゃんと盛り上がってくれたし、ついてきてくれた」。

「ビートボックスとは少しだけ違うことをやろうと決めたことで、今僕は本当に好きなことができているし、しかも続けられています。

一方で、僕は職人の世界も大好きですし、一直線なクリエイターも尊敬しています。これは人それぞれの選択だから、どちらが正しいというものではないです。皆さんが選べばいい」

無我夢中で始めたYouTubeで、 HIKAKINとして大ブレイクしてから今年でちょうど10年が経った。当初は「YouTuberってラクして食えていいよな」という声も耳に届いていた。

そのたびに「じゃあやってみたらいいじゃん」と内心思いながら、必死で動画をアップし続けてきた。 「もし、ヒカキンさんが2020年に18歳だったとします。それでもYouTubeを選びますか?」と最後に聞いてみた。

「それは初めて聞かれた質問ですね。うーん……」と腕を組み、首を少し傾け、考えた上で彼はこんなことを言った。

「やっぱりやるでしょうね。ネットのエンタメの中心地がYouTubeだから」 中心の中の中心であり続ける気概──。

そこにブレはないようだ。

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