人気YouTuber襲う「粘着ストーカー」の迷惑実態 ゆゆうた、水溜りボンド、ヒカルも被害者に

今年4月頃から、ある川崎市の住宅が嫌がらせを受け続けている。無関係にもかかわらず、音楽系YouTuber・鈴木ゆゆうたの実家とする情報がインターネット上に流れたことが原因だ。

「火が出ている」といううその通報が警察や消防に寄せられたり、放火や殺害を予告するメールが市役所に送られたり、頼んでいない学校案内のパンフレットや宅配ピザが送りつけられる被害が相次いでいるのだ。嫌がらせがエスカレートしていることから、警察官を常駐させて警備する事態に陥っている。

鈴木ゆゆうた自身も、過去にも自宅を3回も特定されたほか、2回殺害予告を受けるなど、多くの被害を受けている。2020年6月に鈴木ゆゆうたのふりをして都内の学校や電通に爆破予告を送りつけた犯人は逮捕されているが、その後も被害は続いているというわけだ。

YouTuberは子どもの憧れの職業の定番となりつつあるが、実はさまざまな事件の被害者となっていることをご存じだろうか。人気YouTuberたちの抱える大きなリスクについて解説したい。

「命の危険さえ感じる」ストーカー被害も

YouTuberの受ける被害で最も多いものの1つが、ストーカー被害だ。顔と名前を出して動画を投稿することでファンから自宅を特定され、ストーカーされる被害は多い。

「YouTuberの自宅は調べると情報が出てくる。実は大好きなYouTuberに会いたくて、近くまで行ったことはある」とある大学生から聞いた。

最寄り駅まで行ったところでわれに返って、YouTuberの行きつけの店に寄って帰ったそうだ。「『これ以上行くと犯罪者になってしまう』と思ったからやめただけで、本音では会いたかった」という彼はその後もそのYouTuberの情報を集めているそうだ。

芸能人やYouTuberなどの自宅につながる画像や情報はインターネット上に多くあふれており、待ち伏せすることなども難しくない状況にある。実際に自宅に押しかけたり、侵入したファンもいて、過去に何度も事件になっている。

2017年クリスマス、YouTuberのはじめしゃちょーは、「ストーカー系YouTuber」を自称する女に自宅に侵入され、追い出して通報している。

この女は11月にもはじめしゃちょーの自宅前に座り込んでインターホンを連打するなどして、付きまとい禁止命令を受けていた。このほかにもバレンタインデーに別の男性YouTuberの自宅を動画から割り出し、ストーカー行為をして逮捕されるなど、ストーカー行為を繰り返していたようだ。

2019年8月には、YouTuberのヒカルが2018年10月に引っ越したばかりの新居から引っ越さざるをえなくなったことを動画で報告。同じマンションの住人から玄関で待ち伏せしたり、その様子を撮影されたりのストーカー被害を受け、身の危険を感じたためだ。

2020年10月には、YouTuberグループ・水溜りボンドが撮影部屋にしているトミーの新居(トミーハウス)の周囲をうろつくストーカーに困り果てていることを動画内で公開。動画内でトミーハウスの全貌公開していたことで特定されてしまったようで、「命の危険さえ感じる」「怖いよ、生きていくのが」と恐怖心を隠していない。

ほかにも「フィッシャーズ」「ヒカキン」「みきおだ」「ゆきりぬ」など多くのYouTuberが、ストーカー被害に遭ったことを告白している。

ストーカーにとどまらず、殺害予告を受けたYouTuberもいる。

2020年7月にははじめしゃちょーが、殺害予告を受けたことを告白。Twitterの「やっとついたぁーw 今から侵入してやるわ。しね」という投稿には、はじめしゃちょーの自宅前の写真が添付されていた。殺害予告に気づいたファンが通報し、深夜3時に静岡県警がはじめしゃちょーの自宅を訪問、事件を知ることになったというわけだ。殺害予告はほかにも数件確認できる状態であり、警察官が警備する事態となった。

YouTuberの桐崎栄二は過去に何度もストーカー被害を受けており、監視カメラも設置済みだ。2020年10月には、不審者2人が自宅前で「妹に会いたい、桐崎家とご飯に行きたい」などと騒ぎを起こしている。不審者が立ち去った後には、玄関に「殺す」の文字がスプレーで書かれ、玄関一面に手紙がはられた状態となっていた。

ほかにも、ヒカキンなども殺害予告を送られているという。成功や名声と引き換えのように、見知らぬ他人から「殺す」というメッセージを送られる恐怖を味わわされているのだ。言うまでもなく、殺害予告は脅迫罪、威力業務妨害罪などで罪に問われる行為だ。たとえ本気ではなくても偽計業務妨害罪に当たるなど、必ず罪に問われることは忘れてはならないだろう。

詐欺行為に巻き込まれたヒカキン

危害を加えられるだけでなく、冒頭でご紹介した鈴木ゆゆうたの例以外にも、なりすましをして犯罪行為に利用される例もある。

ヒカキンは2018年6月に、ヒカキンを名乗る認証バッジまでまねたTwitterの偽アカウントを作成されている。偽アカウントは、大量のiTunesカードなどの写真とともに「RT(=リツイート)した人全員にプレゼントします」と告知を投稿、数万のリツイートやいいねをされていた。詐欺被害につながる可能性が高く、ヒカキンも激怒している。

2020年10月には、ヒカルも同様の偽アカウントを作成されている。偽アカウントは、フォローとリツイートをした人に「現金10万円を配る」「iPhone12をプレゼントする」などと不審な投稿を繰り返していた。ヒカルは過去にも何度も偽アカウントに悩まされてきたが、このとき犯人はメキシコのサッカー選手アマンダ・ペレスさんのアカウントを乗っ取り改変していたため、認証バッジがついていたのだ。

誹謗中傷被害も多いため、YouTuber事務所も対策を始めている。2020年7月、UUUMは、同社専属クリエーターを守るための「誹謗中傷および攻撃的投稿対策専門チーム」を設置。弁護士や警察などの専門機関との連携を強化し、悪質な権利侵害、プライバシー侵害、殺害予告などへの対応を強化。SNSの規約違反に当たる投稿や、弁護士が法的に根拠付けできると判断した投稿に対してSNSへの削除依頼を行うとしている。

なぜ「犯罪被害」に遭いやすい?

なぜYouTuberはこれほどさまざまな被害に遭っているのだろうか。顔を出し注目される存在のため、賞賛も集められるが同時に非難・批判も浴びることになるのは芸能人も同様だ。

しかし芸能人と違うのは、芸能人より圧倒的にファンに近い存在であることだ。身近な存在であるゆえに、接触に対する心理的抵抗が少なくなってしまっているのだ。YouTubeやその他SNSで直接やり取りができることも大きく影響しているだろう。

また、そもそも動画は情報が多く、個人情報の特定につながりやすいことも影響している。自宅につながる情報はほとんど出ていない芸能人に対して、YouTuberの動画は自宅などが映り込んでいることも多く、特定しやすい。YouTuberの中には、鈴木ゆゆうたのように自宅その他の個人情報を隠さず公開してしまっている人もいる状態だ。

どんな投稿でも、すべての人に好意的に受け取られるわけではない。非難・批判を受けることはあり、このような被害を受けるリスクをゼロにすることは残念ながら難しいだろう。YouTuberに憧れる人は多いが、注目度が高まることでリスクの多い仕事となりつつあるのが現状だ。

誹謗中傷1つとっても、2021年の通常国会への関連法の改正案提出により匿名アカウントの情報開示が迅速になることになっている。匿名でも他人にこのような行動に出ることで、確実に罪に問われることは忘れてはならないだろう。

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